人工衛星の見る夢は、白黒？それともカラー？
「俺は今日もこうして、この部屋で一人あいつの事を想い続ける。 誰よりも高い所から、ただ黙ってじっと見つめる事しか出来ないあいつの事を・・・」
配管工の菊の部屋の窓の向うには一組の男女（ゆり子と徳井）の戯れる姿が見える。
菊はこのカップルを眺めることを日課とし、密かにゆり子に思いを寄せていた。
そんな悶々とした日々のなか、たまたま目にしたピンクチラシに電話する菊。
やって来たのはイエンという名のヴェトナム出身の美しい娼婦だった。
菊は彼女に触れるでもなく、壁に貼り付けてある人工衛星ランドサットなどに関する新聞記事を次々と語っていく。
一方、イエンを送り届けた運転手・小山は今にも倒れそうにやせ細った一人の少年と出会う。
少年の家に行くと、そこには母親に置き去りにされ、寝たきりになった少年の弟が・・
為す術のない小山はただ逃げ出す事しか出来なかった。
結局イエンを抱くことができなかった菊の耳にゆり子の挑発的な声が聞こえてくる。
「いつものぞいているでしょう、わたしたちのこと・・・」
イエン、菊、小山を乗せた車は暗闇の中を走り続ける。
そこにやってくる招かざる客達・・
少年、ゆり子、徳井、ヘミングウェイ、彼らの奇妙なドライブは続く。
その目的地は？
彼らは、何者かに誘われるかの様に遥かなる宇宙空間へと、
はたして菊は憧れのランドサットに出会えるのだろうか・・・。
